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奨学生活動レポート

art

2017.03
冨樫 達彦 Tatsuhiko Togashi
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ここ、アムステルダムでの生活も早いもので半年を過ぎました。第一言語はもちろんオランダ語ですが、アムステルダムはヨーロッパの他の都市と比べても英語が上手だと言われるだけあって、基本的にどこでも英語が通用するので、生活にはかなり早い段階で慣れることができました。その反面、残念ながらオランダ語はちっとも話せるようになりません。

スタジオの様子

僕はいま、サンドベルグインスティテュートのファインアート科で勉強させていただいています。こちらに来る前は足かけ6年ほど東京藝術大学にいたのですが、じつは学校に個人のスタジオスペースをもらえるというのは今回が初めてで、加えて幸運にも現在住んでいる寮が大学に非常に近いがために、藝大時代にはなかった、日々スタジオに通って制作に励むというある意味ではアーティストにとって理想的な生活を送ることができています。生活のリズムが変わると作品の性質も変わり始めて、日本にいた時はどちらかというとリサーチを重ねてコンセプトを組み立てて、作品を設計してそれを実現するという成長的なプロセスで作品を作ろうとしていたのが、最近は日常的なアクティビティーの中からときどき生まれてくる特別なものを掬い取ってあらためてよくみてみるような、自然な作品の生成を待つプロセスに変わりつつあります。

お気に入りの場所

そういう意味でも、ここのところ料理はひとつの大きなインスピレーションの源になっています。もともと食べること、料理をすることは大好きだったのですが、異国の地に来ると、味や匂いや触感に対する感覚は新しい刺激を受けてとくに敏感になるもので、こちらに来てからは以前にも増して料理をするようになりました。数年前に和食がユネスコの世界文化遺産に登録されたことで話題になりましたが、いうまでもなく、料理はアートに負けず劣らず歴史の古い、そして私たち人間をまさに人間たらしめているところのもの、つまり、文化です。

毎朝走っている公園

ところで最近ランニングを始めたのですが、毎日欠かさずに走る場合、ランニングシューズのクッショニングにも回復のために休息が必要なことから、理想的には二足のシューズを交互に履くのがいいと言われています。二足の草鞋とはよく言ったもので、やはり、草鞋は二足であるべきなのです。アートとクッキングが、願わくば、僕が毎日走り続けるのを手助けしてくれるように。

最近の作品

冨樫 達彦 Tatsuhiko Togashi
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