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奨学生活動レポート

music

2018.04
務川 慧悟 Keigo Mukawa
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パリでの生活も、気付けばもう4年目に入りました。 文字通り、右も左も全く分からぬままに始まったパリでの生活は、やはり今でも結局のところ分からぬことばかりで、毎日ああでもないこうでもないと試行錯誤し、もがきながら暮らしていますが、それもこの街の奥深い魅力ゆえ。パリの魅力には日を経る毎により一層魅せられるばかりで、時にはそのことによって自分の未熟さを痛いほどに実感させられたりもしながら、でもそのこと自体大変幸せなことであるとともに、4年前の自分は決して知ることのなかったとても大切な事を、沢山、というわけではないかもしれませんがでも着実に少しづつ、知ることができているという実感があります。

5年振りに積雪したという雪景色のパリ

ピアノのあるフランス田舎のお宅にホームステイした時のこと

パリの街の特性のひとつ、ひいては多くのフランス音楽の特性とも言えると思いますが、それは多様な文化が混ざり合っていることです。パリに住んでいれば、純粋なフランス文化だけでなく多種多様な文化に自然と触れることになりますし、僕の通うパリ国立高等音楽院でもやはり、多くの国籍の学生と出会うことができます。自分とは生活の仕方も音楽の捉え方も180°違うような人たちに触れ、共に音楽をし、お互いを認め合い寄り添ってゆく。そこには苦労も多いですが、日本を出て、こちらでの生活に勇気を持って飛び込んだからこそ得られる、貴重な経験です。

日本で演奏した時のこと

今からもう7年前、初めてパリを訪れた日に、歴史の重みを感じさせるその美しいモノトーンの街並みから受けた感動を、今でも鮮明に思い出すことができます。その街並みの中に身を置いて自分が日常を送っていることを、今でもふと夢ではないかと思うことがあります。こうして長い間ここで生活していても、この街に飽きることは決してなく、晴れ、曇り、雨、毎日微妙に変わる気候と、多くの刺激的なイベントが、日々の生活に毎日異なる彩りを与えてくれます。そんな彩り豊かなこの街に、あとどのくらいの間住むことができるのかはまだわからないのですが、この先どんなに年齢を重ねても、この美しいパリでの日常の記憶が、そこで学んだ尊い音楽の記憶とともにいつでも蘇ってくれるよう、今のこの幸せな留学生活の一瞬一瞬を、心から味わっていたいです。

務川 慧悟 Keigo Mukawa
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